肛門Q&A
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第5回:市販薬による裂肛(切れ痔)の治療
私には10年前から痔の症状があり、一度手術をしたもののやはり再発してしまいました。自己判断でと考え直してみますと、もう手術をせず、付き合っていけるものならそうしたいと思います。
 
症状は出血とはれ、それから細い便しかでない時がある、といった程度なのですが、市販薬で対症する事はできますか?(27歳・女性)
痔の手術適応は一般に自己判断で。と確かに前回書きましたが、いささか解釈が間違って伝わってしまっているように感じます。脱肛に関して前回書かせていただきましたが基本的に脱肛に対するそのものの”わずらわしさ”はヒトによって違うということを言いたかったのです。
 
U度のいぼ痔でもわずらわしいと思う方もいれば、W度のいぼ痔でもわずらわしくないと感じる方もいらっしゃるので一概にV度以上のいぼ痔だからといって手術をしなければいけないと決め付けるのは良くないということをお話したかったのです。
 
さて、今回のご質問は内痔核(いぼ痔)の脱肛に関してではなく裂肛(切れ痔)のようですね。10年前の手術により肛門上皮が多く切除され、その瘢痕のため周囲が強く引きつれ肛門狭窄(肛門が細くなる)が起きてしまったことが考えられます。
 
出口が狭いため当然排便する際に肛門が裂けてしまい慢性の裂肛になってしまったのでしょう。ですから出血があったり便が細かったりするのです。
 
切れ痔の重傷度分類は以下のとおりです。
 
I度:肛門上皮に裂傷(軽い傷)がある程度
II度:肛門上皮に裂傷(浅い潰瘍)がある程度
III度:肛門上皮に裂傷(深い潰瘍)があり、肛門ポリープが認められる
IV度:慢性裂肛の繰り返しから肛門狭窄がおきている
 
基本的に裂肛の治療に関しては@便通の改善 とA軟膏(座薬)により裂肛の浮腫みを抑えることが原則です。
 
しかしIII度以上の深い潰瘍を呈してしまうとこれだけでは痛みも治まらず、なかなか潰瘍は良くならないのが現状です。肛門が狭いから肛門が切れる。切れるからまたそこを治そうと周囲の上皮が寄るために肛門が狭くなる。といった悪循環に陥ってしまうのです。
 
そのような場合は外科的手段として、肛門形成術(単純に裂肛あるいは潰瘍を合併するいぼ痔やポリープとともに切除した後、創傷遅延の予防と狭窄の解除を目的として同時に皮膚を移植する:SSG法を追加する) や肛門括約筋緊張の強いときや肛門狭窄があるときは側方内括約筋切開(LSIS)を施行する のが通常です。
 
ご質問の方は重傷度分類ではW度と考えられます。ですからこの状況を脱するためには上記の手術が必要と考えられ、軟膏等で治すのは厳しいと思われます。
 
 
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