寺田病院 胃・大腸肛門病センター 寺田医師 日本消化器内視鏡学会総会
【目的】

現在、消化管内視鏡検査において上部(GIS)・下部(CS)を同一の日に連続して施行する施設は少ないのが現状です。

今回当施設において施行している上部・下部消化管内視鏡検査連続同時施行における有用性について、その患者満足度調査とweb上における一般的な意識調査をもとに反省点と今後の展望について検討しました。
 
【方法・対象】

2008年2月から2009年8月までに当医療機関(俊和会  寺田病院 と 同法人アイビー大腸肛門クリニック)で施行した内視鏡検査のうち上部・下部同時施行した症例における施行後アンケート調査を施行しました。

また、同時期である2008年12月から2009年8月まで当医療機関所有のwebサイト胃カメラを楽に受けようよ! 大腸カメラを楽に受けようよ!胃腸.JP でも、 上における内視鏡検査について一般的な意識アンケート調査を施行しました。(現在も継続中)


 

当医療機関(俊和会  寺田病院 と 同法人アイビー大腸肛門クリニック)での通常の内視鏡検査手順です。

前処置:大腸内をきれいにするための処置 前日就寝前に下剤(水溶液タイプ)を服用していただきます。 当日は検査前にクエン酸マグネシウム水溶液(マグ子ロールP:堀井薬品)1800ml経口にて洗腸を行い排液が終了して便意がなくなったら、 (写真:腸管前処置便) 塩酸ペチジン(25〜50mg)、フルニトラゼパム(0.2〜0.4mg)および臭化ブチルスコポラミン10mgを静注して胃カメラ(EGIS)を施行します。 これでも反射が強い場合は年齢・体重・基礎疾患・前回の使用量を参考にしてプロポフォールを追加投与する(レベル3) (参考:胃カメラの前投薬には、4つの使用レベルがあります

胃カメラ(EGIS)終了後ストレッチャー(車輪付きベット)を反転して大腸カメラ(CS)を施行します。


まず当医療機関(俊和会  寺田病院 と 同法人アイビー大腸肛門クリニック)で2008年2月から2009年8月までに当院で施行した内視鏡検査は
上部(EGIS):3322件
下部(CS) :3518件
上部・下部同時施行した673症例でした。(平均年齢58.7歳,男性309名,女性364名)


そのうち有効回答の得られた602例を検討の対象としました。
同時施行初回は294例  2回目以上は308例でした。


まず当施設で胃カメラ(GIS)と大腸カメラ(CS)同時施行の内視鏡検査を受けることが初めてだった方294例の方に施行前の不安がどうであったかを聞くと、44%の方が精神的に不安を感じていたようです。次いで26%が体力的な不安でした。

しかし施行後は精神的負担が大きかったと感じた方は28%、肉体的負担が大きかったと感じた方は19%であり、次回も同時施行を希望するかという問いには77%の方が施行するとお答えになりました。

次に、同時期に施行したWEB上のアンケート結果です。2008年12月から2009年8月まで男性133人,女性161人 (Total:294人)平均年齢:47.9歳の方にご協力いただきました。(現在も継続中です)

まず胃カメラ(EGIS)を今までに受けたことがありますか?という質問には8割以上の方が受けたことがあるという結果でした。 これは一般的なアンケートとすれば非常に多い数と思われますが、当医療機関所有のホームページの性格上、検査を受けることを念頭にご覧いただいている方や今まで辛い検査を経験され、楽に検査を受けたいという希望が強い方が多かったためであると考えられます。

結果咽頭麻酔のみ(レベル1)の方が62%。
これは大学病院はじめ多くの医療機関で一般的に施行されているレベルです。この方々たちは検査が辛かった(苦しかった)と答えた方が64%を占めており「胃カメラは苦しい!」という概念を形成してしまわれる方々と推測されます。結果、検査の敬遠傾向が増し「早期発見・早期治療」からはほど遠いものとなってしまうことが否めません。

鎮静剤(軽い睡眠剤や麻酔薬)併用にての検査(レベル2,3)の方々は全体の17%にしかすぎませんでした。このレベルの検査の有効性は当医療機関にて以前調べた検査後アンケート結果でも高い評価を得ております。

しかし、まだまだ普及には至りません。それは検査施行後の休む部屋の確保が難しく、正直「面倒くさい」と考える医療スタッフが多いのが現状ではないかと考えられます。

また数年前から」普及されつつある「経鼻胃カメラ」ですが検査を受けたことがある方は5%と低い結果でした。

まだ経鼻胃カメラを導入している検査機関は少ないのでしょうか?


そこで認知度のアンケート結果です。

そもそも「鎮静剤を使用しての楽な胃カメラ」や「経鼻胃カメラ」を知らなければ検査を受ける機会は少ないのが当然です。

まず、胃カメラ(EGIS)施行したことない方49人中「鎮静剤を使用しての胃カメラ」を知っていた方は20%にしかすぎませんでした。
また、胃カメラ(EGIS)施行したことある方245人中では「鎮静剤を使用しての胃カメラ」を知っていた方も21%にしかすぎませんでした。

胃カメラ(EGIS)施行したことない方49人中「経鼻胃カメラ」を知っていた方は28%であり、 胃カメラ(EGIS)施行したことある方245人中では「経鼻胃カメラ」を知っていた方も32%にしかすぎませんでした。

いかに「鎮静剤を使用しての楽な胃カメラ」や「経鼻胃カメラ」の認知度が低いかがわかります。

このアンケートは胃腸の病気や胃カメラを意識して検索された方が到達するホームページ上の数字です。ですから一般の方の認知度はもっと低いものであることは間違えありません。


さて、次に大腸カメラのWEB上のアンケート結果です。
2008年12月から2009年8月まで男性83人,女性96人 (Total:179人)平均年齢:46.5歳の方にご協力いただきました。(現在も継続中です)

まず、大腸カメラ(CS)を今までに受けたことがありますか?という質問には6割以上の方が受けたことがあるという結果でした。

これも一般的なアンケートとすれば非常に多い数と思われますが、当医療機関所有のホームページの性格上、検査を受けることを念頭にご覧いただいている方や今まで辛い検査を経験され楽に検査を受けたいという希望が強い方が多かったためであると考えられます。

検査後の印象としては辛かったと答えた方が検査を受けたことのある方の約5割に達しました。何が辛かったかという問いに関しては検査そのものの苦痛を訴えられた方は49%。前処置(腸管洗浄液)の飲む辛さを訴えられた方が21%でした。


大腸カメラにおける苦痛は当医療機関関連ホームページでも記述しているように、検者の挿入の仕方に大きく関与され、いかに上手に入れる技術があるかに大きく左右されます。結果的に楽に挿入された方は時間的拘束も軽いわけで、検者の先生の実力が大腸カメラの意識評価に大きく反映されてしまいます。

大腸カメラを受けたことがない方に対する問いでは「症状がない」からと答えた方が半数近くを占めました。

しかし「便潜血検査とは?」にも書いてあるように大腸がんは多くの場合進行するまで症状はほとんどありません。

逆に言えば症状を呈するようになってきた時には進行していると考えても言い過ぎではないのです。

「早期発見・早期治療」を意識するならば症状がなくても定期的な検査が望まれるところです。(参照: 早期の大腸がんなら治る


さて、最後に胃カメラ(EGIS)・大腸カメラ(CS)同時施行についてのWEB上アンケートです。2008年12月から2009年7月まで男性40人,女性53人 (Total:93人)平均年齢:42.5歳の方にご協力いただきました。(現在も継続中です)

まず胃カメラ(EGIS)・大腸カメラ(CS)を同日に同時施行できるということを知っていましたか?という問いに知っている(もしくは受けたことがある)と答えた方は11%にしかすぎませんでした。

やはり施行したことのない方の不安は体力的・精神的・時間的な拘束というイメージが多かったようです。


さてもう一度当施設での胃カメラ(GIS)と大腸カメラ(CS)同時施行の内視鏡検査を受けた方のアンケート結果を提示します。

心配されていた肉体的・精神的な負担は軽いものであると認識されさらに時間的な拘束はほとんど単独に検査した場合と変わらず、さらに来院が 1回で済む分時間的な拘束は軽減されます。

9割の方が次回も同日同時施行を希望されるようにとても有効な手技であることは明確であります。



もっとも被検者の安全を十分に配慮し検査を行うことは最重要点であることは言うまでもありません。

しかし、臓器別の診療形態をとっている施設(特に大学病院など)は内視鏡スタッフにおける役割が分担化されており、また検査後の回復室等の整備の面からも連続同時施行のシステムを構築することは難しいと考えられます。

当施設のような内視鏡検査の専門施設が増え、被検者の方に時間的・経済的にも軽減され苦痛なく施行できる技術として一般的に推奨されるべきものであると期待するところです。


資料:2009 日本消化器内視鏡学会総会 発表
寺田病院 大腸肛門病センター 寺田 俊明医師など)